2026年8月末、YouTubeチャンネル「wakatte.TV」が公開した福島大学のキャンパス調査動画をめぐり、大きな議論が起こりました。
問題となったのは、福島大学の学生が放射能研究について話した場面で、高田ふーみん氏が「福島大には触らせたくない」と発言したことです。
SNSで一部が拡散されると批判が広がり、9月1日には福島大学が学長名で声明を発表。同日、高田氏もXで謝罪し、問題となった動画を削除しました。
しかし、この話はそこで終わりません。
翌2日、令和の虎二代目主宰で武田塾創業者でもある林尚弘社長が、高田氏らについて「悪質に切り取られているだけ」とする趣旨の発信を行い、過度な批判を控えるよう呼びかけます。
さらに4日には松本洋平文部科学大臣までこの件に言及。ひとつのYouTube動画をめぐる問題は、大学の研究力や偏差値、学歴そのものをどう考えるのかという議論にまで広がりました。
高田氏の発言はなぜここまで問題になり、林社長はなぜ擁護する立場を取ったのでしょうか。
目次
発端は福島大学のキャンパス調査、「福島大には触らせたくない」が拡散
問題となったのは、wakatte.TVが福島大学を訪れ、学生へインタビューしたキャンパス調査動画です。
wakatte.TVは、高田ふーみん氏とびーやま氏が、学歴や大学受験を題材に学生へインタビューするYouTubeチャンネル。学歴社会を皮肉る「学歴第一主義」のキャラクターを前面に出し、大学の偏差値や入試難易度を扱う企画を数多く公開しています。
福島大学の動画でも、入試難易度をめぐるやり取りが続いていました。
そのなかで学生が、福島ならではの研究として放射能について紹介。
これに対して高田氏が、原子力や放射能は重要な問題だとしたうえで、「福島大には触らせたくない」と発言しました。
動画内では、東日本大震災や原発事故の被害、福島大学での研究を揶揄する意図はないとする注意書きも表示されていました。
一方で、切り取られた発言だけを見ると、福島大学の研究や学生を否定しているようにも受け取れる内容だったことから、SNSで批判が広がります。
福島大学が学長名で声明、原子力災害研究の意義を説明
9月1日、福島大学は公式サイトで「本学を取り上げたインターネット動画について」と題した声明を発表しました。
声明ではチャンネル名や高田氏の名前を直接挙げていません。
そのうえで、学生や教育研究活動について「配慮を欠くと受け取られかねない発言」があったと説明しました。
福島大学は、東日本大震災と福島第一原発事故以降、国内外の大学・研究機関と連携しながら復興や地域課題の解決に取り組んできました。
とりわけ原子力災害や環境放射能の研究について、福島の経験を科学的に検証し、その成果を国内外へ還元するための重要な活動と位置づけています。
一方で声明の最後では、今回の件を理由に特定個人への誹謗中傷や不適切な言動を行わないよう呼びかけました。
高田氏の発言に懸念を示しながら、批判する側にも冷静な対応を求めた形です。
高田ふーみん氏が謝罪、問題となった動画も削除
福島大学の声明が出た同日、高田氏は自身のXで謝罪しました。
【福島大学キャンパス調査動画について】
今回の動画における発言について、私たちの言葉足らずな表現により意図とは異なる形で多くの方に伝わってしまい、福島大学の皆様および関係者の皆様にご不快な思いとご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。…
— 高田ふーみん【wakatteTV】 (@tigakukirai) September 1, 2026
高田氏は、震災や原発事故を揶揄・差別する意図はなかったと説明。
一方で、福島大学で原子力を学ぶ意味や経緯、研究に取り組む学生への配慮が「決定的に不足していた」と振り返り、問題となった動画を削除したことも明らかにしました。
これで一度は収束に向かうかと思われましたが、その謝罪文に対しても、「意図とは異なる形で伝わった」という表現などをめぐりSNSでは批判が続きます。
そして、この状況に反応したのが林社長でした。
林社長はなぜ高田氏を擁護?「福島だから言ったわけではない」
9月2日、林社長は自身のXで今回の問題について意見を述べました。
アドバイス、ありがとうございます。
たぶん、本人としてはいつも通り、偏差値がそこまで高くない大学をいじるつもりなだけで、そこが岩手大学だろうが、北見工業大でも
「原子力の研究できる?」
って言ってたと思います。
とくに福島とか関係なく言ってるんですよね。… https://t.co/YcL2q1ukCO— 林尚弘@令和の虎二代目主宰FCチャンネル (@hayashinaohiro) September 2, 2026
高田氏とびーやま氏はいずれも武田塾に所属しており、林社長はその武田塾の創業者です。
そのため今回の発信は、まったく関係のない第三者としてのコメントではなく、武田塾を通じて関係のある立場から出されたものといえます。
現在は「令和の虎」の二代目主宰も務めていることから、林社長の発言そのものにも注目が集まりました。
林社長が強調したのは、高田氏が「福島だから」という理由で原子力研究を否定したわけではないという点です。
いつものwakatte.TVと同様、偏差値がそれほど高くないとされる大学をいじる流れのなかで出た発言であり、別の大学であっても同じようなことを言っていたのではないかという見方を示しています。
そのため、一部分だけが切り取られて「福島への差別」のように受け取られている状況について、「かわいそうだ」としました。
ただし、林社長も高田氏の発言そのものを「何も問題がなかった」としているわけではありません。
高田氏が謝罪していることにも触れつつ、普段は受験生に役立つ情報を面白く発信しているとして、一度の誤解や過ちだけで過度に攻撃しないでほしいと呼びかけました。
さらに、今後は別の形で福島や研究機関の魅力を伝えることで、今回の件に向き合っていくのではないかとの期待も示しています。
林社長が擁護したのは、発言そのものというより、高田氏に「福島を差別する意図があった」と決めつけることや、その後も続く過剰な批判だったと整理する方が実態に近そうです。
文科相も言及、「研究力を偏差値で判断するのは適切ではない」
騒動はさらに広がります。
9月4日、松本洋平文部科学大臣が記者会見でこの問題について質問を受けました。
文部科学省の会見記録でも、「YouTubeで福島大を揶揄する発言に対する文科省の受け止め」「偏差値のみで大学や学生の価値を判断する風潮への大臣の受け止め」が会見テーマとして明記されています。
松本文科相は、学生や教職員の尊厳を傷つける言動はあってはならないとしたうえで、大学の研究力を偏差値だけで判断することは適切ではないとの考えを示しました。
これは福島大学だけを擁護したというより、「入試難易度」と「大学の研究力」は分けて考えるべきだという一般論です。
福島大学自身も、原子力災害や環境放射能について、震災後の経験を国内外へ還元する重要な研究だと説明していました。
wakatte.TVが長年テーマにしてきた「偏差値」という物差しと、大学の研究価値は同じなのか。
騒動は、高田氏一人の発言から大学教育そのものをどう評価するのかという話にまで発展します。
林社長も反応、話は「学歴は大事なのか」へ
文科相の発言を受け、林社長も再び反応しました。
林社長が疑問を呈したのは、「偏差値や学歴は関係ない」とする方向へ議論が広がることです。
大学の研究価値を偏差値だけで判断できないこととは別に、受験勉強や学歴には一定の意味があるというのが林社長の考え。
文部科学省自身も難関大学の出身者を多く採用しているのではないかという趣旨の指摘を行い、「学歴が大事ではない」という方向へ議論が進むことに異を唱えました。
全国の学習塾経営者
何も言わねえなあ学歴大事だから
塾やってんだろ!?なんか言えよ!
ここで言わないやつは
Fランに進学させとけな何で中学受験ブームが加熱してるかわかる?
学歴は正義なんだよ
努力の指標なんだよ
全国の塾長!!
意見を表明して!!
— 林尚弘@令和の虎二代目主宰FCチャンネル (@hayashinaohiro) September 5, 2026
ここで今回の議論は、「高田氏の発言が適切だったか」という話から、「偏差値で大学をいじることはどこまで許されるのか」「そもそも学歴や偏差値にはどれほど意味があるのか」という、wakatte.TVや武田塾が長く扱ってきたテーマへと広がっていきます。
林社長にとって今回の問題は、高田氏を擁護するだけの話ではなく、自身が以前から発信してきた「学歴」への考え方にもつながる出来事となりました。
高田氏は改めて動画で謝罪、最初の対応にも反省
その一方で9月5日、高田氏はwakatte.TVで謝罪動画を公開します。
高田氏が一人でカメラに向かい、今回の発言について改めて謝罪する内容でした。
ここで高田氏は、問題となった発言だけでなく、炎上後の自分自身の対応にも反省点があったと話しています。
最初のX投稿では「震災や原発事故を揶揄する意図ではなかった」「福島大学の入学難易度について言っただけ」という弁明の気持ちが強く、発言によって傷ついた人への率直な反省が足りなかったと振り返りました。
つまり、林社長が擁護した「福島を差別する意図があったわけではない」という部分と、高田氏が「それでも発言そのものは不適切だった」と反省したことは、必ずしも矛盾する話ではありません。
意図をどう捉えるかと、実際に発した言葉への責任をどう取るかは、分けて考える必要があります。
「擁護」と「謝罪」、それぞれが向いていた先
今回の一件では、福島大学が教育・研究に取り組む学生の尊厳を守る立場から声明を出し、高田氏は自身の発言とその後の対応について謝罪しました。
一方、林社長が問題視したのは、高田氏の意図まで「福島への差別」と決めつけ、一部分だけをもとに批判が過熱していく状況です。
その後、文科相まで言及したことで、議論は大学の研究力と偏差値、さらには学歴社会そのものへと広がりました。
wakatte.TVはもともと、学歴社会をあえて極端なキャラクターや強い言葉で表現しながら、大学受験や学歴について発信してきたチャンネルです。
だからこそ今回の出来事は、学歴や大学を扱う際に、企画としての面白さと学生・研究への配慮をどう両立するのかという難しさも浮き彫りにしました。
高田氏は最終的に、意図だけではなく「言葉そのもの」に配慮が足りなかったと認めています。
そして林社長も、高田氏を一方的に正当化するのではなく、本人が謝罪していることを踏まえたうえで、過度な誹謗中傷を止めるよう求めました。
ひとつのキャンパス調査動画から始まった今回の一件。
福島大学の研究の意義だけでなく、発信する側の責任と、それを受け取る側が文脈をどう見るのかまで考えさせられる出来事となりました。

